組手は検証。検証なくして進化なし。

March 20th, 2016

本日札幌にて開催された大道塾空道の試合を会員の皆さんと一緒に観戦しました。
空道の試合を観戦したのは1993年の北斗旗以来。
打・投・極全てを含む最も実戦的な武道のひとつとして、以前から大好きでした。
太気拳と出会わなければ、空道をしていたかもしれません。
 
23年ぶりに観戦し、選手の動きが変化したことに驚きました。
パンチからの肘の使い方や投げてからのポジショニング、蹴りのバリエーションなど、より高度にルールに合わせて進化した印象です。
 
試合・組手という検証があるからこそ、進化があります。

PDCAサイクル

会社の事業活動においてPDCAサイクルという手法があります。
計画し(Plan)、それを実行する(Do)。実行後は結果を評価し (Check)、それをもとに改善する(Act)。
このサイクルによって計画した行動が目標達成に役立ったのかを検証し、改善することが可能になります。
 
武術において本当の評価は「日常の現実」における有効性。
しかしそれはなかなか実際にはありませんので、それに近い形での試合や組手はこの評価(Check)の為のツールとして有効です。
 
PDCAサイクルからすれば、この評価(Check)の段階がなければそれに続く改善(Act)ができません。
 
武術の目的が「暴力」から「身を護ること」であれば、それ自体が無理としてもできるだけそれに近い行為を評価方法として導入せねばなりません。
その為には実戦に近い形である自由組手形式の稽古が有効です。
型をやって上手くなるのは型であって、組手ではありません。
(同じように、残念ながら組手をやって上手くなるのはあくまでも組手であって、実戦ではありません。ここに安全性との両立の限界を感じます。)
 
ですから、武術の目的が例えば「強い心身をつくる」ということであれば、必ずしも組手が必要とは限りません。また試合を競技として普及・発展させる場合には安全性やゲーム性を高める為に、あいまいな概念である「実戦性」が薄まったとしても、それはそれで一つの素晴らしい発展です。

検証の方法によって何が有効か、ということが変わってくる

検証で「よい」と評価されたものが残り、「わるい」と評価されたものが消えてゆくのが改善(Act)です。
ですからどのような形式で検証をするか、それが各流派の特色、目的を決定づける重大な要素となります。
 
その流派の稽古中における「本番」が、表演(演武)であればそれに合った形に、約束組手であればそれにあった形に、進化してゆきます。

畳の上の水練

それに、速く泳げるようになるには実際に泳ぐしかありません。
陸上での筋トレやフォーム改善はあくまでも補足。メインは実際に水に入ることです。
 
太気拳は素面素手顔面有りの組手が稽古における本番と言えます。
そして、この検証方法があることにより、それにともなった進化をしています。
 
(しかしその過激な稽古方法により怪我が多かったのも事実です。
ですから当会では、多少の実戦性を犠牲にして安全性に配慮した軽めの組手で稽古をしています。
また女性や初心者の会員の方は組手はせず、推手など別の稽古で検証を行っています。)
 
組手は検証にすぎません。ですが検証なくして進化はありません。