ハラから力をだす
May 9th, 2025
太気拳気功会に宮崎さんという先輩がいる。
身体が格別大きいわけではないが、宮崎さんの打撃はやたらと重い。
バットで殴られるのではなく、もっと柔くて重いものにぶつかったような衝撃だ。
ガン!ではなくべタン!という感じ。
稽古後、一緒に飲んだ時にその秘訣を聞いたことがある。
「島田先生にハラで打てっていわれたからそのとおりやってるだけ。」
と言って、私の肩に腕を置いてくれた。
するとその腕にはたしかにべっとりとした重みがあった。
ハラ(腹、肚)から力をだす、という表現がある。
その感覚を知るにはそうでない形をとってみると分かりやすい。
腰が引けた「へっぴり腰」だ。
腕に力を伝えるとき、へっぴり腰だと脚からの力が腰で止まってしまうので上半身の筋力がメインとなる。
ハラから力が出るときは、地面から力がでている。
ハラ、腰周辺が人間の物理的な重心の位置だ。
ハラから出る力は自分自身の重心がしっかりとれ、その重みが対象に伝わる力だ。
呼吸による腹圧や全身のリラックス、意識の集中など他の要素も多々あるが、物理的な力を生む為には骨格構造が基盤となる。
立禅を基本とした太気拳の稽古は、ハラの据わった人間になるための稽古でもある。

武禅会に段級があれば初段審査はバンジー