腹に落とす
June 20th, 2025
武禅会での稽古は、物理面と心理面で腹落ちすることを目的に構成されているともいえます。
・物理的に腹に落とす
相手からの負荷を腹に落とす、吸収する感覚を養います。
その中心はちょうど腹のあたりに位置する下丹田とよばれるあたりです。
正面から投げられた10kgの球を受けて後ろに下がらないためには、全身、特に下半身を柔軟にしてふんわり受け止めることになります。
私は子供の頃ドッジボールが大好きだったのですが、あのボールの衝撃を吸収する感じです。
相手からの衝撃はできるだけ避けたくなりますが中心でとらえてこそ、全身を使って変化することができます。(ぶつかるのではなく、吸収、変化です。)
腕で相手の攻撃を受けるときでも、ガシッと腕だけで受けるのではなく腕から自分の中心に向かって重みが伝わるような体勢になっていなければ小手先の技になってしまいます。
また重みを自分の中心方向に吸収する経路は、反対方向に力を爆発させる経路でもあります。
このように腹に重みを落とすことが、全身を使って力を発揮する基本です。
・心理的に腹に落とす
立禅は、事実はどうなっているのか、それが腹に落ちる修行でもあります。
事実はなんでもないこと、⚫︎は⚫︎、xはxです。
黒丸でもバツでもありません。
本当は上の最初の●と次の●も同じものではありません。
だから事実をより正確に伝達しようとすれば
「●」、「あ」、「&」、、、と言語表現でなくなってしまいます。
事実は一瞬たりとも同じものはありません、諸行無常です。
新たに得るものは何もありません。
ある体験をしてハッキリしても何も変わりません。
事実は、修行などせずとも誰の身にも起こっていることです。
だけどそれを心底納得し、腹に落とすことができます。
武禅会の稽古は、物理面と心理面においてすっきりと腹に落ちることを基本に組み立てらています。

裏山の住人。たまにホーホー聞こえます。