四足歩行にもどってみる
May 12th, 2025
ヒトは「前脚」を「腕・手」として使うよう器用に進化しました。
我々は腕や手で対象物を自由に動かし操作することができます。
一方で、腕が器用すぎるがゆえに腕だけで対象物を扱おうとして全身の力が使えないということがあります。
いわゆる小手先の力です。
腕は細くその力には限界があります。
格闘においては全身の力を相手に伝達しなければなりません。
そこで四足歩行の感覚が役立ちます。
四足歩行時代、「腕・手」になる前の「前脚」の主な役割は対象物を動かすことではなく、自分の体重を地面に伝えて、支え、動かすことでした。
犬が机に前脚をかけて立ち上がった状態では、直立していますが前脚は自分を支えるために机に体重をかけています。
我々が地面に四つん這いになってみてもわかります。
その時、腕は身体を支えています。
地面を動かそう、操作しようとは思いません。
自分の体重を支える前脚としての感覚に立ち戻ると、全身の重みが腕に宿るのです。
これが対象物(格闘では相手)に全身の力、すなわち重さを乗せる感覚につながります。
腕は相手を押す(動かす)ために使うのではなく、自分を支えるために相手に触れています。
そして脚と全身で相手を押すのです。
パンチに体重を乗せる、というのも同じことです。
この感覚がわかるとみなさん驚くほど力が相手に伝達されます。
「手を足のように、足を手のようにつかう」
対象物を動かすという手の役割を足にまかせ、自分を支えるという足の役割を手にまかせる感覚です。
腕に重みが宿る快感をぜひ味わってください。

押すのではない、身体を支えている