武術に準備運動はない

February 14th, 2012

準備運動なるものがあります。
スポーツの前に筋肉を暖め、筋を伸ばし怪我を防ぐ為の運動、というくらいな意味ですね。

だけれども、本当はそれぞれの準備運動自体がれっきとした運動です。
例えばリラックス、脱力のトレーニングは次の運動の準備ではなくそれ自体がしっかりと効果がある重要な稽古。
これを稽古前の準備運動だと考えて身体をほぐす程度に軽くやるのか、身体をゆるめる稽古と考えて身体の中の感覚を精密に感じようとするのか、これだけでも身体に起こる変化は雲泥の差があります。

今行っている行為が未来の何かへの準備ではなく、この行為自体が目的でありそれが全てである。
そんな気持ちで何もかもを行うことこそが稽古の効果を最大限に引き出すコツではないでしょうか。

武術に準備運動は無い、と言われることがあります。

理由としては
・いつ発生するか分からない実戦において準備運動をする暇はない。
・武術の技は筋力や柔軟性に頼らないから不要である。
などと説明がされます。

しかし私は、
「武術は真剣勝負。全ての行動は準備ではなく本番だから準備という言葉がない。」
のだと考えます。

今に集中するということ、それが実りある稽古にもつながり、また太気拳の求める、「身体全体で動く=身体と意識すべてが一つの目標に向かって総動員される状態」につながると感じています。

明日から数週間、島田先生とヨーロッパを歴訪します。
ヨーロッパではカレンバッハ先生をはじめ、澤井健一先生に直接教えをうけたジャンリュック先生など多くの方にお会いします。
稽古づくめの日々、楽しみです!