六方向への力
May 23rd, 2025
太気拳では上下の力が前後左右への力の基本となる。
相手を押す力、押されず踏ん張る力は上下、つまり頭から足裏方向の力によって生み出されたものだ。
押す力、引く力など格闘において相手との間で生じる力、それらは全て足裏と地面との摩擦力から生じている。
いくら胸や腕の押す力が強くとも、地面との摩擦力がなければ力を相手に伝達できず自分が動かされてしまう。
自分が動かずその場にいる重さが維持できていること、それが上下の力であり、前後左右への力の根源だ。
たとえば床に置いたペットボトルを横から押すと簡単に倒れる。
それを倒れないようにするには、ペットボトルを上から押し付けるか、床から離れない程度に引き上げるといい。
立禅では天井を突き上げたり、頭を上から押されたりするイメージを通してこの感覚をつかむ。
車のサスペンションとも共通するものがある。
車が進むのは地面との摩擦力(トラクション)によるものだ。
太気拳ではこの上下の力を前後左右への力に変換する身体をつくる。
がむしゃらに押したり引いたりすれば腕に頼ることになる。
全身を統合させた動きを追求すると、自然と上下の力の大切さに気づく。
武道を修行すると姿勢がよくなるイメージがあるかもしれないが、上下にスッとした立ち姿は力を生み出すために必要不可欠なのだ。

嫌なことをされると無表情になる、その2