物理的構造がすべて
June 10th, 2025
武道では意識の力や気の力について語られることがしばしばあります。
ですが物理的な力は物理的な構造によってしか発揮されません。
意識の力や気の力が存在しないということではなく、それらが最終的には物理的な身体構造を変化させ、物理的な力を生むということです。
はじめて自転車に乗るとき、まっすぐ前を見て意識を前方に向けることで乗れるようになるかもしれません。
これは意識の力ではなく、それによって身体の物理的構造が整ったからです。
前方に意識を向けただけで体に変化が生じていなければ乗ることはできないでしょう。
それを「乗れないのは本気で意識を前に向けていないからだ!」というのは筋違いです。
同じように、立禅で物理的な力を得るには物理的構造を整えるしかありません。
自転車の場合は、乗れる、乗れない、で正しさを判断することができます。
立禅の場合は、誰かに適切な負荷をかけてもらうことで確認することができます。
立禅は、達人や指導者の形を見て真似てもできるようにはなりません。
競輪選手のフォームを見て真似ても自転車に乗ることができないのと同じです。
形が最重要だけれども、特定の形ではないんです。
自転車に乗れた時の、重心のありどころがコントロールできている感じ、あれです。
力の原理が分かっている先生に触ってもらって、これが力だよ、ということをまずは知ることです。
それがなければボールを抱く、バネを引っ張るといった意念を使っても力を養うことは難しいように思います。

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