接点以外が動く
June 2nd, 2025
相手を制したいと欲すれば、相手を自分の思い通りに動かしたくなる。
相手を動かすためには相手に接した箇所を動かしたくなる。
接した箇所とは、多くの場合は手、腕だ。
しかし腕は器用ではあるが胴体や脚より細く、力が弱い。
そんな腕に力仕事を任せるのは酷だし非効率だ。
手には絵を描いたり、背中を掻いたりするような繊細な仕事を任せよう。
腕に頼らず相手に力を伝えるには、触れていないところが動き、それによって体勢と体勢から生まれた力を維持することが求められる。
ボールは押された部分が凹んで力を吸収する。
吸収された力は均等に表面のゴムに分散されている。
そのボールが地面に置かれていれば、その力は地面へと流され、ボールはその場で凹み動かない。
それと同じように、相手からの負荷を腕だけでなく体全体、特に脚から地面へ吸収する、これが太気拳で養う弾力のある身体だ。
相手を動かすのは脚であり、腕はただ力を伝達するだけである。
四足歩行にもどってみる
ぶつかったところで争う必要はない。
自分をいい具合に維持するのが目的とすれば、ぶつかったところは譲り他でバランスを取ればいい。アメーバのような、バーバパパのような。
組手にかぎらず日常でも、そんな柔らかな心で過ごしたい。

台湾にて。ワイヤーで立体的に造形されています