前拳のコツ②
August 4th, 2025
前拳のコツ②である。
コツ①「当たる瞬間、前脚は浮いてる」はこちら。
私が最も信頼する技は前拳だ。
相手が強ければ強いほど、これに頼る割合が高くなる。
前拳はスキが少なく、急所である顔面を狙いやすい。
相手の顔面に最も近い場所に構えられているからだ。
信頼しているがゆえにコツを語りだすと108個ほどになるが、そこから厳選せずにランダム抽出して5つ、記そうと思う。
厳選ではなくランダムなのは、「この程度のこと、知っとるわい。」と言われる読者諸賢に「いや、これはテキトーに抽出したもので、まだまだ秘伝が隠されているんです。」と言う余地を残すためだ。
さて前拳2つめのコツは、
「前に出ながら打つ」
理由は2つある。
ひとつには身体の推進力を打撃力にしたいから。
後拳(オーソドックスの構えでは右拳)は腰を回転させる力が加わり、破壊力が増すが、前拳の場合腰の回転を大きくすることはできない。
(とはいえ、後拳の半分程度の回転はあり、それによってもパワーと距離を生んでいる。)
だから前拳においては身体が前進する力を打撃力の源泉とする。
前拳で体当たりするかのごとく体重を乗せることができれば理想的だ。
なお腕の屈伸による力は大したことはなく、相手の顔面に到達するスピードに関与するところが大きいと思われる。
腕の力だけで鼻の骨を折るくらいは簡単にできるのだが倒すまでには至らないというのが実感だ。
もうひとつの理由は、前に出ないと当たらないから。
前に出ずとも突きの当たる距離で向かい合う人がいるがこれは危ない。
腕を伸ばすだけで突きが当たる間合いは、攻撃を目で見て避けることはできない。
反射神経では間に合わないのだ。
特に自分は打撃で決めたいが相手は組技を得意とする、という場合はなおのことである。
だから、一歩踏み込まないと当たらない距離で対峙することが多くなる。
その場で動かずに打つような突きは、組手ではほとんど使わない。
反対に下がりながら打つことも無いでは無いが、無い。
半歩でもいいから、前に出て打とう。
大きな30cm、50cmの間合いの調整は相手にやってもらうといい。
自分がやるのは、最後の数cmの調整だ。
細やかな間合いの調整を制する者が勝負を制するのだ。

礼文島スコトン岬にて