希望を抱くのをやめれば不安もなくなる

September 19th, 2025

希望を抱くのをやめれば不安もなくなる
by セネカ

ストイックという言葉がある。
「目標達成のため感情や欲望に流されず、自己を厳しく律し、努力を続ける姿勢」
いま世界陸上が開催されているが、参加選手たちはまさにこれの実践者だろう。

セネカはこのストイックという言葉の由来となったストア派哲学の代表的な人物だ。
彼の言葉のひとつが、冒頭の「希望を抱くのをやめれば不安もなくなる」。

この言葉は一見すると悲観的に聞こえるが、禅と通じるものがある。
禅は未来への期待や過去への執着から離れ、「いま、ここ」に集中することを説く。
我々が抱く不安の多くは「こうなったらどうしよう」という未来への希望や恐れから生じる。
希望とは未来に「良い結果」を求める心であり、その裏側にはそれが実現しないかもしれないという「不安」が常に潜んでいる。
希望と不安は表裏一体なのだ。
だからこの希望という思考の連鎖を断ち切る。
そして「今この瞬間」に意識を向けることで、未来の不確実性から生まれる希望も不安も、共に手放すのだ。

「希望を抱くのをやめれば不安もなくなる」
この言葉は単に希望を捨てることを勧めているのではなく、未来に囚われる心の構造を洞察し、不安から解放されるための方法を示している。
事実はただ、「いま、ここ」だけだ。

ホーチミンの夜、バイクいっぱい人いっぱい