8Dec
不動智神妙録(間不容髪)

不動智神妙録(間不容髪)

間、髪を容(い)れずということがあります。 これを兵法にたとえて述べてみましょう。 (中略) 人が打ちこんできた太刀に心が止まれば、そこに隙ができます。 その隙にこちらからの働きが、お留守になるのです。 向こうが打ってきた太刀と、それに応える我が方の働きとの間に、髪の毛一本入らぬようなら、人の打つ太刀は自分の太刀となるのが当然です。 禅の問答でも、このように間髪を容れない心の状態を大切...

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5Dec
姿勢を整える

姿勢を整える

"At 40, a man must take responsibility for his face." 「40歳になったら、人は自分の顔に責任を持たねばならない」 元アメリカ大統領リンカーンが語ったとされる言葉だ。 (リンカーンが初代大統領だと思っていたが、十六代目だった。) 目鼻立ちは生まれついてのものだが、そこに浮かぶ表情やそれを40年続けた結果刻まれたシワは、自分の心の表れと...

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28Nov
意念を用いるか、用いざるか

意念を用いるか、用いざるか

立禅では意念(イメージ)を使うことがある。 四方の空間とバネで繋がっており、全身が空間全体と協調して動く。 全身が周囲の空間、自然とつながっているかのようだ。 敵と相対したときもその相手だけにとらわれることなく、天地と呼応する。 自己と周囲の環境との一体化ともいえるだろう。 意念を使わず、ただ立つこともある。 ただそのままに立つ。 野生動物が休息しているときのようだ。 くつろい...

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24Nov
不動智神妙録(無明住地煩悩)

不動智神妙録(無明住地煩悩)

無明住地を、あなたがよくご存知の兵法にたとえて説明してみましょう。 敵が刀を振り上げて切りかかってきたとします。 その刀を一目みて、「あっ、来るな。」などと思うと、相手の刀の動きに心がひきずられて、こちらは自由に動くことができずに切られてしまいます。 打ちこんできた刀を見ることは見るのですが、それに対して、ここで相手の刀を切りかえそうとか、どう打ちこもうかなどと思慮分別を一切持たずに、つまり...

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21Nov
大阪の仲間との稽古

大阪の仲間との稽古

大阪に太気拳の仲間がいる。 私は島田道男先生の弟子だが、彼は別の先生のもとで長年稽古をしている。 技量もあり誠実な人柄と相まって、会うたびに楽しく多くの気付きをいただく。 師が変われば稽古のありようも違ってくる。 立禅や動きの形にも多くの差がある。 だが互いに触れ、語ると、本質的なところで共通点がある。 そうでなければ同じ流派、太気拳とはいえないだろう。 その本質とは立禅の力...

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7Nov
力の噴水

力の噴水

相手から受けた力を地面に流す。 地面からの力を相手に伝達する。 身体はあたかも力を通す噴水のようだ。 足裏からの力が、ブワーッと頭頂部に到る。 その力の一部が腕を伝わり、相手に届く。 この力は主として自分の体重が地面を押す反力である。 その逆に、相手からの力を地面に吸収する。 そのとき、相手との接点は足の裏のようになっている。 そこで自分を支えられるようになっているのだ。 ...

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3Nov
死のうと思うな、生きようとも思うな

死のうと思うな、生きようとも思うな

死のうと思うな 生きようとも思うな ただ、戦え (「水滸伝」 北方謙三) 生死をかけた闘争は幸いにも経験がない。 だが、組手でも似たところがあるように思う。 強敵であればあるほど、勝つとか負けるとか、そんな先のことは考えてはいられない。 この瞬間の突きや蹴りに対応しなければならない。 ただ、一心に向き合うだけだ。 今、この瞬間にやれることを、やる。 そんな没我の瞬間がたまら...

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24Oct
身体と意識の相関関係

身体と意識の相関関係

「学ぶ」の語源は「真似ぶ」とする説がある。 気功は自然をまね、その気を我が身に写し取る行為だ。 立禅は中国では站椿というが、これは樹木の真似であるともいう。 大樹のごとく静かに立ち、その静けさ、何事にも動じない強さを真似るのだ。 真似をすればそうなる、ある程度は。 眉間にシワを寄せていれば険しい気分になるし、笑顔をつくっているとなんとなく機嫌がよくなってくる。 姿勢を正していると心...

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20Oct
言葉にすると嘘くさい

言葉にすると嘘くさい

友人からこんなメールをもらった。 ーーーーー 松井さんは、手の平と甲を交互にひらひらさせて コレ、コレ、コレ、と表現していましたが、 これは、現在過去未来が連続的ではなく、 今、という感覚が断続的な”点の連続”という感じなのでしょうか? ーーーーー それにこんな返事をした。 ーーーーー 過去現在未来の連続性がない、ということは表現として「事実」に近いものがあるかもしれません。 ...

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17Oct
無心に、気は発露する

無心に、気は発露する

会員の松本さん。 親分肌で器の大きな人だ。 建設現場で働いておられるので、私のイメージは半纏を着た宮大工の棟梁。 以前は芦原空手をされており、組手姿もしゅっとしている。 彼から聞いた話だ。 ある日の建設現場のこと。 2階ほどの高さの足場で足元の工具を取ろうとしたら、そこに足場がなかった。 それで数メートル、落下したそうだ。 大怪我レベルの事故だ。 だが、気づいたら下で立ってい...

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